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      8.夫婦(めおと)

 秋も深まり肌寒くなった。お米の大きな乳房に顔をうずめていた。片手で小指程の小さな乳首に遊んでいた。

 お米が女になってから、ふた月が過ぎた。

「ね、泊まってて。駄目なの?」

「朝稽古があるからね。それにここを出る時、朝は目立つよ」

「あたし、平気よ。誰に見られても良いの」

 お米は二人でいる時の言葉遣いがいつの間にか変わっていた。言いながら両手で抱きついた。

 乳房は太吉の鼻と口を塞いだ。息が出来ない。乳房を噛んだ。お米は痛さに思わず手を緩めた。

「もう少し優しく噛んで、痛いのよ」

 太吉は黙って乳首をくわえた。お米は頭の奥にずんと痺れた。

「ねえ、こっちも吸って」

 両方の乳房を重ね持つと、両の乳首を同時に吸った。

「あれー、どうなってるの?」

 返事が無い。黙ってしゃぶり続けている。お米は身体の芯がまた潤ってきた。自然、下半身を寄せた

 その時、固いものが触れた。又大きくなっていた。太吉は横向きの身体を起こすと、組み敷くように乗って来た。

 片手で確かめるようにして太吉自身が入って来た。お米の中は充実感が奥まで届いた。

「あー」とお米は声を漏らした。この瞬間がお米は好きだった。自分から腰を持ち上げた。

 太吉は中を確かめるかのようにじっとそのままでいた。じわっと包み込まれている。

 押し上げられた腰を押し返すかのようにさらに突き入れた。その瞬間お米は心地良さにきゅっとすぼめた。

 太吉は全体を吸い込まれるような快感を味わった。それを合図のように力強い注送が始まった。思いっきり。

 お米はめくりめくような激しい注送に、快感を越えて気が遠くなって来た。

「大丈夫?」

 太吉の声で目が覚めた。あれっと思った。そこに手ぬぐいが当ててあった。

「すみません」

 そっと押さえるように軽く拭った。その後から続いて流れ出てくる。2回分である。若い太吉の量は多い。

「お米ちゃん、夫婦になってくれ」

 太吉は仰向けのまま、人ごとのような口ぶりで言った。

「えっ、何て言いました?」

 お米は聞こえていたが、信じられなかった。

「夫婦(めおと)になってくれ」

 少し間置いて

「あたしで良いのですか?」

「何を言う。おれを浮ついた男と思ってか?」

「いいえ違います。あたしは町人の娘です。夫婦になれないことはわかっています」

「おれも町人の子だ。13歳の時、先代の護り屋に奉公に来た。武士では無い。おれが嫌か?」

「好きです。死ぬ程好きです。だからそんなことは考えてもみませんでした。一緒にいられるだけで嬉しいのです」

「じゃ、夫婦になってくれるな!」

 お米は起き上がると、襦袢の襟を合わせ居住まいを整えると、

「どうぞよろしくお願いします」

 言い終わらぬうちに泣き出した。声を上げて。

 太吉はすぐに起き上がりお米を抱きしめた。しっかり力いっぱい抱きしめた。太吉も嬉しくて一緒に泣いた。

 お米がいじらしくてせつなくて口を吸った。涙の味がした。絶対幸せにする。心に固く誓った。

 太吉は突然顔を上げて、思いついたように、

「お米ちゃん、ご両親はどこに住んでいる?」

「木場に住んでいます。母一人です。父は……」

「父はどうした?」

「はい、5年前あたしをここに奉公に出した後、そのまま帰って来ません」

「何かわけがありそうだな」

「わけなどありません。奉公の前金5両を持って出て行ったのです。母には2分のお金を残して」

「それは気の毒な話だ。母上は達者でいるか?」

「はい、元気です。それでも、そんな父の帰りを待っています。お金が無くなれば帰って来るだろうと言うのです」

「5年経つのだろう。何事も無ければいいが……」

「あるわけありません。2年前に、人伝に本所で女と暮らしていると聞きました。もう、父ではありません」

 太吉は顔を曇らせた。そのことには触れず、

「母上の住まい、木場なら近いな。早速だが、明日ご挨拶に行こうと思う。どうだろうか?」

「はい、ありがとうございます。若先生を見てどんなに喜ぶかと思います」

「お米ちゃん。良い加減に若先生は止めてくれ。お店では困るだろうが、二人の時は太吉だ」

「はい、そう思っていますが、つい若先生と言ってしまいます。何だか畏れ多くて……」

「これからは、太吉も止めて『あなたとかおまえさん』とか言うんだ。それはどちらでも良い」

「何だか恥ずかしい。あなたは呼び捨てですからおまえさんと呼ばせていただきます」

「それから、その前に親爺さんにも承諾を戴こう。お米ちゃんの親代わりだからな」

「はい、よろしくお願いします」

 健気なお米を抱きしめて口を吸った。柔らかな身体の感触と喜びに溢れた気持ちに自身がじわっと昴まつて来た。

 そのままそっと押し倒した。お米もその気配を感じて足をそっと開いた。自身はゆっくり入って来た。3回目。

 次の朝、太吉はお米を伴い竹蔵を訪れた。竹蔵は一目で察した。それでもとぼけるように、

「何事かありましたか?」

「朝早くすまぬ。お米ちゃんと夫婦になりたい。許してくれるか?」

「許すも許さないもありません。大歓迎です。実はそうなられるのを待ってました。ただ、承諾は母御さんと……」

「聞いておる。これから母御さんに会いに行く。これからもよろしく頼む」

「若先生、お願いがございます。お米ちゃんに急に止められるとお店が立ち行きません。何とかならないですか?」

「それは心得ておる。変わりが見つかるまでは勤めさせるつもりだ」

「ありがとうございます。ご婚儀は盛大にやりましょう」

「いや、婚儀はやらないつもりだ。気遣いありがとう」

「それでは、店の客だけでやらせて頂けませんか?お米ちゃんに岡惚れしている者もおりますので……」

「ははは、そうかそう言うこともあるな。ではよろしく頼む」

 店を出るとその足で木場の母親を訪れた。母親は何やら縫物をしていたが、お米の後ろの太吉を見て驚いた。

 何か悪いことでも起きたのかと心配顔で二人を交互に見た。

「おっかさん、この人と夫婦になります」

 それを聞いて母親は口が利けない。唖然とした。その人は見るからに侍のようである。

「神代太吉と申します。娘さんを嫁に頂きたい。よろしくお願いします」

 それには答えず母親は太吉を部屋に上がるように勧める。勧められるまま太吉は上がった。お米も続いた。

 母親は居住まいを正すと、両手を付いて深々と頭を下げた。そのままで、

「ふつつかな娘でございます。どうぞよろしくお願い致します。只、母一人子一人でございます。嫁としての何の支度も出来ません。申し訳ございません。お許し下さい」

 大工の女房と聞いていた。さすがお米の母親だ。礼儀正しい物言いだった。

「それは、こちらとて同じです。私は天涯孤独の身の上です。今、深川一刀流の師範代をしております。どうぞよろしくお願い致します」

「娘とは身分が違います。大丈夫でしょうか?」

「今申しましたように、私は天涯孤独です。名字帯刀を致しておりますが士分ではありません。お間違いなきよう」

「とんでもございません。どうぞ、娘をよろしくお願い致します」

 太吉は母親の優し気な眼差しに引き込まれるようだった。しかし、その慈愛に満ちた目は寂しそうでもあった。

 母のことはお米から聞いていた。この母親を寂しくさせてはならない。お米と一緒に幸せにすると心に誓った。

                                        つづく

次回9回は9月7日火曜日朝10時に掲載します