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           覚悟の失業 9.

  「おいしかったわ。ビーフシチューがソースとは驚きました。豪華なハンバーグでした」

 「ここの看板メニューですからね。でも喜んで頂いて良かった。珈琲にしましょうか?」

「私もそう思ったところでした。お願いします」

 清水はジャズボーカルやシャンソンの話に打ち解けていった。そして、池田が意外にもロマンチストだと知った。

 池田は、清水がシャンソンの話になると夢中になって色々聞いて来る。それが嬉しくて裏話等色々話をした。

 清水は目を輝かすようにして聞いていた。時間が経つのを忘れた。もうすぐ7時になる。ふと時計を見て、

「あら、こんな時間になるのね。どうしましょう」

「何か、予定がありました?」

「いいえ、何もありませんけど……」

「コロナ禍でなかったら、飲みに誘いたかったですね」

「お酒飲めないのです。ごめんなさい。今日は帰ります」

「わかりました。駅はどこですか?」

「東上線の若葉です」

「えっ、僕は鶴ヶ島です。隣ではないですか?」

「奇遇ですね。でも考えてみたら、ハローワークが川越で一緒ですからありうることですね」

「じゃ、続きは電車の中で話しながら帰りましょう」

 二人はつばめグリルを出た。池田は嬉しかった。こんなに綺麗な人と、一緒に帰れるなんて幸運を得た気持ちだった。

 池袋の東上線ホームに着いた時は19時半を過ぎていた。コロナ渦にありながらも並んでいた。これでも平時よりは少ない。

 彼女を先に4番目と5番目に並んだ。運よく隣り合わせに座ることが出来た。

「ところで、クミコのシャンソンは聞いたことあります?」

「ええ、CD持ってます」

「独特の声で素敵ですよね。でも最近は歌謡曲に転向したようですね。シャンソンを聴く人が少なくなったからでしょうね」

「そうなんですか?」

「今、シャンソンを聞く人は年配の方が多いようです。若い人には人気が無いというか、知らない人が多くなりました」

 そんな話をしているうちに、次は川越ですと車内放送が聞こえて来た。

「話をしていると早いですね。もう川越ですって、そうだCDお持ちします。いつが良いですか?」

「明日は都合が悪いので、明後日はいかがでしょうか?」

「わかりました。明後日お持ちします。場所はどこにします?」

「新宿でも良いのですが、遠いから近くのワカバウォークではどうでしょうか?」

「あ、良いですね。僕も時々行きます。近くて良いですね」

「場所はどこにしましょうか?」

「そうですね。中央のイベント広場ではどうですか?」

「そこならすぐわかります」

「もしかして、見失ったら困るので電話番号教えて頂けますか?」

「はい、では番号を言います。よろしいですか?」

「ちょっと待って下さい。スマホを出します。かけ直せば僕の番号もわかります」

 明後日午後3時に二人は待ち合わせすることになった。

                                      つづく

続きは10日金曜日朝10時に掲載します