Shopping Cart
Your Cart is Empty
Quantity:
Subtotal
Taxes
Shipping
Total
There was an error with PayPalClick here to try again
CelebrateThank you for your business!You should be receiving an order confirmation from Paypal shortly.Exit Shopping Cart

覚悟の失業 19.

「玲子さん、好きだ」


 言いながら身体の全ての力を注ぎ込んだ。玲子は二度目の熱い息吹を身体の奥に感じた。自然に下半身を下から押し付けるようにして両手をまわした。


 池田は抱き返しながら、体重を掛けないように横向きになった。徐々に縮小した自身がするりと抜けた。玲子はそこから何かがじわっ流れ出るのがわかる。


 そこは、二度も注がれ溢れていた。玲子は夢を見ているようだった。

池田の胸に顔を寄せた。心身が共に充実する喜びを初めて味わった。


「私も好きです」


 玲子は池田の胸に唇を付け思い切り吸った。


「そんなに吸ったら痕が付いちゃうよ」


 池田は、まさかそんなことをするとは思っていなかった。玲子は黙って口を離すと、そのそばをまた吸った。もっと力を込めて吸った。


「良いよ、どこに付けて良いよ。僕も付けるよ」


 玲子を仰向けにした。小ぶりだが形の良い胸を両手で掴む。そして、片方の乳首を思いっきり吸い始めた。痛い程吸われているが、なぜか心地良かった。


 嬉しくて池田の頭を両手で抱えた。池田は苦しくなって乳首を離した。


「明日、役所に行くよ。婚姻届を出すからね。キスマークは証拠だからね」


「えっ、そんなこと。役所で見せるの?」


「馬鹿だね。見せるわけないだろう。明日、婚姻届を出しに行こうね」


「はい。痛ーい!もっと優しく吸ってね」


 翌朝目が覚めると隣に玲子が寝ていた。嬉しくなって両手で抱きしめた。玲子は、一瞬あれっと言う顔をしたが抱きしめられるままに顔を寄せた。


「おはよう。今日は起きたら役所に行こうね」


「役所?今何時ですか?」


 役所と聞いて思い出した。婚姻届け、本気だったのね。でもどうしよう。


「7時半だよ。婚姻届けを出しに行くんだよ」


「ねえ、今日行くの?」


「そうだよ。約束しただろう」


「私達、お付き合い始めてまだひと月しか経たないのよ。それにお互いにまだ無職よ」


「気が変わったの?」


「そうじゃないの。本当に私と結婚して良いの?」


「僕はただ好きだけで言ってるわけじゃない。初めてなんだ。自分の未来が見えるんだ。玲子さんと一緒の自分が見えるんだ。こんなこと初めてなんだ」


「……」


 池田は布団から出るとその場に正座した。


「仕事はすぐ見つけてくる。生活を困らせるようなことはしない。全て一からのスタートだが、きっと幸せにする。僕には自信がある。必ず幸せににします。結婚して下さい」


 昨夜承諾を貰ったはずなのに、玲子の無言が不安になり必死になって言う。


  玲子は嬉しかった。実は職場ではうとまれていた。美人過ぎてそれだけで医師の注目を浴びていた。男性患者は接する態度が極端に違った。


 しかも、必要以外は話さなず無口に近かった。同僚看護師からはそれがお高くとまってと反感を持たれた。玲子には美人であると言う自覚がなかった。 


 病院を辞めたのはコロナ接種問題だけでなく、職場の人間関係も大きな理由であった。自分では何もしていないのにと、いつも気持ちが沈んでいた。


 その私に、結婚して欲しいとこの人は言う。私は人に嫌われる性格を持っていると自覚している。私を本当に知ればきっと嫌になるはず。それが恐かった。


「仕事は三日以内に見つけます。必ず幸せにします。結婚して下さい」


 真剣な眼差しに玲子は心を取り込まれた。


「はい、でもお約束があります。私を、これからも嫌いにならないで下さい」


「ありがとう、ありがとう、ありがとう…ずっと好きです。ずっとずっと…」


 言いながら池田は玲子をしっかり両腕で抱きしめた。その目に涙が溢れぼろぼろと流れ続けた。玲子の目からも溢れ流れた。この日二人は婚姻手続きをした。

                          つづく


次回20回最終回は12月17日金曜日朝10時に掲載します